メーカーにとってCGは巨大な財産――3ds Maxによる内部制作が可能にしたワンソース・マルチユース戦略
パナソニック電工株式会社
本社:大阪府門真市大字門真1048
創業:1918年
設立:1935年
資本金:1,485億円(2009年3月現在)
従業員数:連結 56,848名(2009年3月現在)
http://panasonic-denko.co.jp/
1つの新製品を1テーマとして、CADデータから動画を作って機能やメカニズムを紹介し、店頭用ムービーに編集し直す。さらに1部の画像を加工してカタログやポスターに展開し、加えて住空間の画像と組み合わせて高品質な商品イメージ画像を作る。もちろん展開の仕方に大小はありますが、1テーマあたりの活用は毎回そんな感じで、それが半年で24テーマ。4人のチームで年間50テーマほど動かしています。忙しいのですが、ついこちらからも次々提案してしまいますね。――この映像をあそこにも使ってみたら、とか(笑)。
パナソニック電工株式会社
電器事業本部
電器ものづくり・調達革新センター
開発プロセス革新グループ
中村正治 氏
電器事業本部
電器ものづくり・調達革新センター
開発プロセス革新グループ
中村正治 氏
内部制作でメリットを生みだすワンソース・マルチユース
パナソニック電工は、わが国を代表する総合電気機器メーカーの1社である。そのフィールドは住宅設備建材から照明機器、情報機器、制御機器、電子材料、電器まで広がり、中でもメンズシェーバーやヘアドライヤー、マッサージチェアなど美容と健康をテーマとする電器事業は消費者にとってはなじみ深い存在だ。しかし、近年この電器分野における新製品プロモーションに、1つの課題が生まれていた。電器事業本部の中村正治氏は語る。
「電器製品にも最近は高度な技術が使われ、商品自体複雑化しています。そのため商品コンセプトの技術的側面を伝えることが非常に難しくなっているんですね。しかし、これを分かりやすく伝えることもメーカーとして重要な責務。そこで私たちが活用しているのが、製品のCADデータから3ds Maxで作るCG映像です」。同社では複雑かつ専門的な商品コンセプトの技術的側面を、誰でも理解できるCG映像に仕上げているのである。しかもこの機能説明用のCGムービーは商談資料からカタログ、パッケージ、販売会社向けの研修用ビデオ、ホームページまで、さまざまに形を変えながら幅広い分野に活用され、大きなメリットを生み出している。まさに“ワンソース・マルチユース”を実現しているのだ。
驚くべきは、この多種多様なビジュアライゼーション制作を、ほぼ全て、中村氏率いるデジタルものづくりチームが行っている点である。だが「いや、むしろ内制だからこそできたんですよ」と中村氏は笑う。前述のように高度かつ複雑な技術の詳細を分かりやすく魅力的に、そしてもちろん科学的に嘘が無いCG映像を作るには、製品に関わる社内各部門の協力が大前提。CGモデルの基となるCADデータは設計部の提供であり、商品コンセプトの詳細は企画や設計にヒアリングする。広告戦略はマーケティング部門に聞き、技術的な表現チェックは技術部の協力が不可欠だ。社内制作だからこそ可能な、各部門との緻密な連携がカギなのだと言う。
「CADデータから3ds Maxで多様なCGを生成し、海外も含めて幅広く活用する“ワンソース・マルチユース”は大きなメリットを生み出す“資産”。ですが、もし外注が作ったCGで同じことをしたら版権料だけで大変な金額となり、メリットを生み出すのは難しかったでしょう。全ては私たちが3ds Maxと出会い、選び、自身で使いこなしたからこそ可能になったのです」
蓄積したCG資産やノウハウがマルチユースの展開を支える
「実は私は設計出身です。しかも入社した1995年頃はちょうど当部門で3次元設計へ挑戦が始まった頃で、私もすぐ3次元CADを使い始めました」。そうして3年ほど3次元CADを使った中村氏は3次元の必要を確信するに至ったが、同時にそこに足りないものがあるとも感じていた。
「CADデータは金型屋さんに渡すのですが、それだけじゃもったいない。CADデータ自体にもっと大きな価値があると思っていたんです」。何とかデータを2次活用できないか。そう考えた中村氏が研究を始めた直後、新製品のテレビコマーシャルにCADデータを使えないかと問合せが入る。早速同氏はある大手CG制作会社を訪ねた。
「本格的なCG映像に触れ、すごいと思ったんです。こんな表現ができるんだ、と。それが3ds Maxとの出会でした」。感銘を受けた中村氏は、すぐに3ds Max導入を決める。
「複数のCGを比較しましたが、やはりコストパフォーマンスの高さで3ds Maxがずば抜けていたんです。またCADデータとの相性の良さも大きかった。何といってもCADデータを生かすことが大前提ですから」。
2000年に始まった中村氏らの挑戦は、まず内覧会用の商品説明映像という形で結実する。これは年2回、量販店や販売代理店を対象に開く新製品展示会。中村氏らはその会場で流す新商品説明映像を6種以上も制作し、話題を呼んだのである。部門トップの強力な後押しもあって、これを機に3ds MaxによるCG活用のフィールドは部門全体に広がっていった。
「動画の一部がカタログのビジュアルに使えるというので紙面に使い、加工すればお客様向けにも使えると求められて店頭用ムービーを作り……。ならば商品写真自体を3ds Maxで作ればメリットはさらに拡がるだろう、と。フォトリアルな静止画CGへの挑戦です」。高品質が求められる商品写真は実物やモックアップの撮影が主流だったが、開発リードタイムの短縮と共に広報宣伝も前倒しされ、実写撮影では対応が困難になっていたのだ。フォトリアルCGはさすがに難しかったというが、大学との共同研究で作ったマテリアルセット等を活用し、徐々に品質を上げていったと言う。近年はさらに背景用の住空間や、商品と共に使う手指や人体も3ds Maxで作るようになっている。
「蓄積したCG資産やノウハウが、マルチユースな展開を支えています。今後は開発でも活用したいですね。たとえば立体視を社内プレゼンとか……。やりたいことはまだ幾らでもあるんです。当然3ds Maxの進化に大いに期待していますよ!」
【導入目的】
- 設計用の3次元CADデータの2次活用
- 新商品のプロモーションなど各用途向けCG制作
【導入ポイント】
- コストパフォーマンスのずば抜けた高さ
- 3次元CADデータとの親和性の高さ
- 豊富なプラグインによる多彩な表現、効果
- 年1回のバージョンアップによる着実な進化
【導入効果】
- ワンソース・マルチユースの実現
- CGの活用に関する理解の拡大
- CG資産(データ、ノウハウ)の蓄積
【今後の課題】
- さらなるボリュームアップ要求への確実な対応
- さらなる品質向上要求への確実な対応
- より多彩かつ高度な新しいCG表現の開発
- 新たな2次活用手法の開発
パナソニック電工株式会社.pdf (pdf - 1,582Kb)



